小さい絵しか描けなかった男の子

小学2年生の男の子の作品です。

彼は絵画教室以外にも療育を受けています。

彼は絵画教室に来てもうすぐ1年になりますが、初めの頃の彼の絵は、描くものがとても小さく、もしかしたら彼自身も自信を無くしているかのような寂しさもある絵でした。

私から『もっと大きく描いたら見る人はわかりやすいかもしれないよ?』と伝えても中々大きく描くことが出来ませんでした。

描く姿勢にも原因があり紙に近い状態で絵を描くため紙全体が見えておらず、視界が狭くなり小さく描いてしまうのです。

これは普段のコミュニケーションでもそうなのかもしれないと思いました。

自分のことだけを考える事が多く、周りに合わせる事が苦手なのかも。

周りに意識を向け相手がとる行動の意味を考える事が苦手なのかもしれない。

普段から視野が狭く気づける事が少ないかもしれない。

絵画教室で彼に伝える事を明確にする必要があると考えました。

彼には描く前に紙全体を見て、どこに何を描くか決めてから描き始めてもらうように伝えました。

初めはそれさえも取り組む事が難しく、自分の描きたい事を描きたいように描く事が何回か続きましたがそれはそれで彼の描いたものに対しアドバイスなどをしながら授業を行なっていました。


授業の中での彼の変化


3ヶ月ほど経ったとき、彼の授業の中での取り組みが変わってきました。

絵に対しては変わらず、自分の描きたいように描いている事が多かったのですが、道具の使い方を友達に教えてあげたり片付けを率先してやる事が多くなったり友達を手伝う事が増えたりしていきました。

彼はとても正義感の強いお子様だったのです!

私が彼に伝える活動の意味を彼なりに理解できると、それを周りへ伝える事が出来、自分も実践出来るのです。

私の言葉だけで理解する事が出来るため彼には具体的に指示を出し、またその理由を相手の都合や世間一般的な決まりだからと言わず、そうすると相手が嬉しい気持ちになる。そうすると次使う時に使いやすい。そうすると道具がもう使えなくなってしまう。などの言い方で彼に伝えていきました。

友達に言い方がキツくなる時もありますが、私が間に入るとすぐに言い直す事も増え、今でも彼には片付けを周りの子に伝える役割をお願いしています。


こうすると相手が〇〇な気持ちになるから。など相手や先のことを考えられるようになると絵の描き方も変わってきました。


私からのアドバイスにも応えられるようになってきたのです:)

この絵の時では『じゃあここに栗を描いてもいい? 秋といえば紅葉とかイチョウだね!』と私からのアドバイスに対してオリジナルを出せるようになりました!

一見自分の描きたい物を描いているようにも見えますがしっかり私の与えたテーマに沿って、また提案や確認を取り、それに対して私が『いや、そうするよりこうした方が見る人はわかりやすいよ!』と伝えるとイライラせずに『分かった!!』と言ってくれるようになりました:)

この絵でもわかりますが彼の絵はとても細かい部分もしっかり描いているんです。

栗の絵では小さい黒のツブツブを描いたり、紅葉やイチョウもゆっくり丁寧に描いているから形が崩れていない。

一つ一つ丁寧にかけるのは性格も真面目な子が多いです!

そして空いているスペースをしっかり見つけ秋の物を描いてくれているという事は、ただ描きたいではなく誰かに見て欲しい!という気持ちが現れているのではと私は思います:)

Yuno art-therapy-class

2023年から開講!!! 発達障害のこども専門のオンライン絵画教室 先ずはお気軽にご連絡を下さい!

0コメント

  • 1000 / 1000